門徒音楽様式葬儀次第

  ●葬儀と音楽

  特に近年、葬儀が徐々に変化しています。儀礼なしの「直葬」、「自然葬」、「音楽葬」、「友人葬」等々。僧侶抜きの葬儀が進行しています。家族・親族の「きずな」が薄れ、地域社会が崩壊してゆく中の現象でしょうが、形式化・マンネリ化した現在の葬儀に対する反発もあるはずです。
  浄蓮寺では、平成14年に「葬儀・法事に関するアンケート調査」を行いました。調査に先立つこと数年前に、葬儀を勤めた経験のある戸主に対する意識調査です。その中に、現在の葬儀の在り方に関する項目を盛り込みましたが、〔回答者が高齢の人であるせいもあったのか〕その大部分は、「現状維持」でした。
 これは何を意味するのであろうかと悩みました。恐らく、遺族にとっては、葬儀をすることに意味があるのであり、葬儀の仕方に、特別の興味はないということでしょう。僧侶の読経は、いわば、BGMのようなものであったのか?それと、比較になるような葬儀がないということも、その原因の一つであろうと思いました。
  葬儀は、宗旨にとっては、、「往生浄土を具象化する」大切な儀礼です。それを少しでも実現できたらと、この調査以降は導師・脇導師、入・退出時に楽〔竹林楽(雅楽)又は清浄音(シンセサイザー)〕を入れてもらっていました。そして、この2月からは、前奏曲〔憶念〕と、唱和の曲〔恩徳讃〕を入れ、入・退出の楽も正式なもの〔希有音・恒沙音〕にしました。これで、少しはメリハリがあり、遺族・親族の感情に寄り添える葬儀になるかなと期待をしています。
  いずれにしても、今後、葬儀も少しは変わると思います。人生最後の儀式、…だからもっと関心を持っていただきたいと思います。