音声(おんじょう)の仏さま 

 仏教讃歌

 音声(おんじょう)の仏さま 

    浄蓮寺住職 〔都濃東組組報「まことの光」所収〕

  今年のゴールデンウィークは、新型肺炎の影響で、海外旅行が激減し、代わりに、国内の行楽地が賑わいました。 中でも、国内トップは、善光寺で、210万人もの人出があったそうです。それは、何年に一度の「御開帳」と重なったからです。

 人はめったに見ることが出来ないと、反って、見たがるものです。その「人の心理」に付け込んだ巧みな商法が、まんまと成功しました。しかしながら、めったに見ることが出来ない仏さまが、真の仏さまと言えるのか、その宗教性が疑われます。

 秘仏さん 隠れていては 救えまい

        (鳥取 竹内冬泉 毎日新聞『万能川柳』より)

は、それに対する痛烈な批判です。

 私たちの仏さま(阿弥陀仏)は、御堂の奥深くに鎮座まします仏さまではありません。

 御仏をよぶ わがこゑは 御仏の われをよびます 御声なりけり

        (甲斐和里子『草かご』より)

 私たちの仏さまは、南無阿弥陀仏(ナンマンダブ)と、わが口をついて出てくる仏さまです。他人の悪口を言い、他人を欺くこの口に、ナンマンダブと仏さまが現れて下さるのです。

 私たちの仏さまは、煩悩のただ中に、はたらいて下さる仏さまです。 


 



 自然を守り続ける人

 仏教讃歌

 自然を守り続ける人

      大谷嚴太郎 (下松市潮音町)

最近、山口教区の総代会の研修会に参加した折、私の隣に座った同年輩の人と雑談していると、その方は、楊貴妃の里がある油谷町に住み、日本海に面した山の斜面の棚田を、夫婦で耕作する農家の人でした。

耕作面積は一町五反、棚田の数は七十余、棚田の段差は人の背丈も有り、人、農業機械の移動も大変な労力が要るということでした。こんな悪条件の中で、耕作する理由を尋ねると、

 ◆ ご先祖から戴いた棚田である。

       自然を守り続けることは、国土(山間部の地域)の保全になる。

から、ということでした。

平地部でも、減反、高齢化により不耕作田が増加しており、ましてや、山間部はいうまでもない。又、瀬戸内の海岸部は、大正、昭和と工業化により自然は少なくなっている。そのように変化してきた世の中で、世世生生、自然を守り続ける人達があることを知り、いつまでもと願うものである。
 幸い、平成11年には「日本の棚田百選」に選ばれ。又、平成15年5月31日、6月1日の二日間、50ケ国の人が棚田を観察するために訪れる(棚田と海との調和した自然の美を見に来る人)と、はりきっておられました。

 


仏教讃歌
 

 仏教讃歌

 去る(平成15年)1月28日、清和仏教婦人会の奉仕者慰労会の席上で、元婦人会長・新開ハルさんが、75年前に浄蓮寺の日曜学校で習ったという仏教讃歌を披露してくださいました。歌詞をも見ずに歌われたので、今も脳裏に焼きついておられるのでしょう。驚嘆すべきことです。幼児期の「こころの教育」の大切さをしみじみと感じ させられました。

 今の『仏教讃歌集』には収録されていない貴重なものなので、筆記してもらいました。それをご紹介致します。上の写真が、歌をうたっておられる新開さんです。

        1)晴れたる夜半の空を見よ
            数かぎりなき星影は
              きらりきらりと輝けど
              大きな月はただひとつ

                     2)十方諸仏はましませど
                      私を救いたまわるは
                      広い世界にただ1人
                      御名も尊い阿弥陀仏